姜 兆文

「牙」とは動物が口に持つ、骨組織でできた、大型で細長く鋭い歯を指す。
山での調査中、倒木の幹の一端生えた「牙」を発見し(写真1)、驚いた。

 腐食が進んだ幹の真ん中は空洞になっており、中を覗くと「牙」は奥まで放射状に交錯して並んでいた(写真2)。
 よく見ると、「牙」は、木材によくみられる節の部分が残ったものだった。幹が生長するのに伴い、横に伸びた枝が、幹の中に埋まるような形で残ったのだ。幹部分は腐ったのに、なぜ「牙」だけが残ったのだろう。節のたくましさを目の当たりにし、自然の力は凄いことを改めて認識した。

写真1

写真1.木の「牙」


写真2

写真2.奥まで放射状に並んでいた「牙」