岸本 真弓

 シカやイノシシを捕獲するために設置したククリワナに誤ってクマが捕獲されてしまうことがある。本来の目的でない動物が捕獲された場合には、速やかにワナから解除し、放獣しなくてはならない。
 しかし、クマは危険な動物である。そのため麻酔薬を投与した上でのワナからの解放および安全な地での放獣が必要となる。
 一方、ククリワナにかかったクマは必死である。多くの個体が夜に移動していてうっかり捕まってしまうのだろう。空が白んでくるにつれ焦りとパニックは最高潮となる。なんとかして逃れようと必死に土を掻き続ける個体がいる。
 写真はそのようにして作られた堀である。手の届く限り堀り続けたクマの心情を思うと痛ましい。足をくくられ、半円形に作られた堀。さながら今年話題の真田丸のようだった。ただ彼女は守るより外に出たかったことは間違いない。
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写真:右上に麻酔で眠らされたクマがいます。その奥には本丸に攻め入った作業員の足が見えます。この個体は無事放獣されました。
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